- 化学同人
- 18.2×12.8cm、192ページ
- ISBN 978-4759816723
- 価格 1,620円
科学書を読むということは、古書なら科学史や言葉などの由来を調べるため、新刊書なら近現代の新知識やこれからの展望など読者が知らなかったことを学ぶことが大きな同機であろう。本書は正しく後者の意味を有するもの。広くは太陽系空間内での新発見事実、狭くは人類がこれから発展させる宇宙開発技術の現状と将来展望について、判りやすく書かれたものである。
読者諸氏諸姉は、キャリントン・イベントをご存じだろうが、ハロウィン・イベントやバスチーユ・イベントは知っておられますか。イースポ(トースポ・サンスポではない)、フォーブッシュ・ディクリース、ファントムイベント、オーロラオーバル、サップス、ペイル・ブルー・ドットなどなど、聞いたことは2、3あるとしても、全部正解の方は多くはないだろう。
もちろん言葉だけではなく、内容である。評者のように新刊書書店(+古書店)歩きを趣味とす輩(やから)も、本書には脱帽敬礼した。宇宙開発の現状と将来展望を学ぶには本書で決まり! だ。併せて本書163ページに掲載されている藤原定家のあまりにも有名な「明月記」中の、ほとんど知られていない(従って評者は初見)1204年2月21と23日の赤気の記述(漢文でしかも毛筆文字なので読むのが大変だった)も一読の価値有り。