- 化学同人
- 176ページ
- ISBN 978-4759816877
- 定価 1650円
推古天皇二十八年(西暦620年12月30日)出現の、日本書紀での記録が、日本最古のオーロラ観望記録。当時の人々は、多かれ少なかれ火事(それも山火事)だと思ったという。誰もがそれを太陽に由来する低緯度オーロラだとは思いもしなかった。評者は、低緯度オーロラ出現の最低緯度記録がサハラ砂漠やハワイだということを知ってはいたが、往時の奈良や京都でそれを現実に直面した人々の驚き様は、この記録や1204年2月21日の藤原定家「明月記」の記録を読むと如実に理解することができる。
本書は明月記の文章から語られ初め、欧米でキャリントン・イベントとして知られる1859年9月1日出現の巨大太陽フレアに伴って翌日世界中に出現したオーロラ、また明和七年のオーロラ事件として知られる1770年9月17日の記録、そして日本書紀の赤気の詳細な分析を主とした本である。かつて、宮原ひろ子さんの著書をご紹介させていただいたことがあるが、やはり出現が少ない低緯度の現代日本では、オーロラをテーマとした本の出版も少ないようだ。その意味で、皆さんに是非本書のご購入をお勧めしたい。
1958年2月11日に八王子市や新潟市、北海道各地でオーロラが目撃され、日本で初めてオーロラがマイクロフィルムで撮影されたことなども、初めて本書で知った。記録が詳細に分析された貴重な本です。お勧めします。