- 化学同人
- 18.8×12.8cm、288ページ
- ISBN 978-4759820096
- 価格 2640円
本書は、評者が今までに読んだ本で、最も優れた恐竜絶滅に関する本である。正しくは地質学書と申し上げたいところだが、彗星シャワーか大隕石衝突と来れば、これは従来の地質学ではなく、正しく天文学でしょう。にもかかわらず、本書を完読するのは大変で、データが大量なため、読みまくりメモをしまくり、パソコンに入力し、合間に掃除洗濯、買い物家事(おっかない金井の家内は保育士で働いているため)、その他カルチャーセンターでの配付資料作りと強烈な忙しさの中で、最後の一行を読み終えた瞬間、万歳三唱!
本書をもって、従来の地質学は壊滅した。生物の大量絶滅もライエルやダーウィンの単純な進化論(自然選択説)も絶滅し、アルバレスの仮説(天変地異説)がほぼ確立したと言うことができる。つまり、少なくとも5億年前から繰り返し起こった生物の種段階の大量絶滅は、何らかの天体の衝突によるものであることが確立したと言って良い。その意味で、本書は歴史的な科学書なのだ。ニューヨーク大学の生物学教授でNASAのコンサルタントを務める著者は、その意味で現代を代表する科学者である。読むだけなら220ページしかないから簡単。だがメモし始めたら、さっき申し上げたように大変である。覚悟されたし。巻末の参考文献の量も、実に46ページ626冊。幸いにもごく一部は翻訳出版されているがほとんど英文。ともかく本書は大変な本なのだ! もちろん、お勧めします!