- 化学同人
- 228ページ
- 定価 990円
評者はこれまでに何度か申し上げているように、2012年よりオリオン座のベテルギウスの変光をお伝えしている。とくに2019年末から2020年4月までの異常減光(0.5→1.6等)は、アメリカ変光星観測者協会(AAVSO)のデータでは、この1世紀の間、見られなかった異常減光だった。ベテルギウス本体から噴き出した雲が周囲を取り巻いたことによる減光ということが判明している。最近は0.5〜0.6等近辺を上下しており、異常な減光は見られない。
ひるがえって我らが太陽では、マウンダー極小期をはじめ、ミランコビッチ・サイクルやボンド・イベント、暗い太陽など、様々な変動が判ってきており、現在いよいよ肉眼恒星観測の大切さも身にしみてきたのである。毎晩「ベテチャン、こんばんは! 今日も元気かい?」と、観測開始時(その1時間半前にぎょしゃ座のアルマーズくんともおしゃべりするが…)に挨拶して、5分ほどの間、顔色を窺っているのだ。
そんなわけで、最近の太陽の研究には、恒星の観測が欠かせない。いわゆる暗い太陽のパラドックスやそれに伴うハビタブルゾーンの変動は、地球外生命体の理解にも欠かすことができない事柄だ。また、宇宙線という、目では見ることができないものの変動も、重大問題になってきた。あぁ、なんとも科学(天文学を含む)は面白い。ワクワクします。