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金井三男金井三男さんによる書評

星ナビ星ナビ「月刊ほんナビ」に掲載の書評(原智子さん他)

編集部オンラインニュース編集部による書評

地球に月が2つあったころ

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地球に月が2つあったころ

  • エリック・アスフォーグ 著、熊谷玲美 訳
  • 柏書房
  • 448ページ
  • 定価 3080円

あちこちの書店で店頭に山積みされている本書を見て、この本が月と地球の歴史を語った本であることを理解する読者が果たして何人いるだろうか、と疑問がふつふつと湧いたのは、評者だけだっただろうか。多分、多くの人は満月が2つ隣り合って昇ってくるような驚くべき文学的景色を想像したのではないだろうか。だって、表紙のイラストにも月が2つ並んで描かれているから。評者はスレスレでそれが回避できた。

文学的表現が200ページ以上続き、第5章に至ってようやく地球とテイアとの衝突が登場する。もちろん、その間にも小惑星や彗星の地球衝突や、木星・土星の衛星群、しし座流星群などの流星雨の記事など多数が紹介解説されており、評者はメモをしまくり、ボールペンを何本も使い切ってしまった。その量は半端なものではない。文房具屋さんありがとう。

だが、なんと言っても圧巻は、テイアと地球との衝突である。この原始地球と月の形成は原始太陽系の中では小さな事件かもしれないが、その後の地球に起こったドラマチックな、たとえば生物進化や火山・地質構造の形成など、今でこそ少しずつ解明されてきているが未だに謎だらけのことだ。本書は入門書ではないので、本書の完全読解には一大決心をしてほしいが、判らないことは多くても、何とか読み通すことは、宇宙科学や地質鉱物学を志す方々にはぜひとも心に決めてほしいことだ。頑張って。面白いですよ!

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