- 恒星社厚生閣
- A5判、232ページ
- ISBN4-7699-1041-X
- 価格 3,465円
続々刊行中の「アインシュタイン・シリーズ」の第12巻。他の巻は天文学の最前線がテーマだが、本書は温故知新。2部構成で、前半は卑弥呼の日食や客星出現、そして人類の月面到達など、歴史に残る天文現象を紹介する。ツングースカ大爆発と地球接近天体捜索を関連づけるなど、現在との対応も忘れない。後半は全国88か所の天文に関係する史跡を紹介。
天文教育普及研究会の会誌「天文教育」の連載記事に基づき、大幅に加筆分割・修正された本で、第一部が人類を揺るがした天文現象に関して考証検討し、第二部は各執筆者が長年実際に日本各地を訪ねて集成した天文史跡に関する資料集となっている。第一部は、各執筆者の天文観が如実に読み取れるばかりでなく、現代天文学による裏づけが豊富で内容も深く、非常に面白い。第二部は圧巻である。この手の史跡案内は、天文雑誌や同好会誌にはまま見受けられたが、ガイドブックとして集合されたものを読んだことは、これまで評者はなかった。もちろん、すべて網羅されてはいず、例えば評者が昔調査した江戸の報時制度にかかわる史跡や転々と移り変わった幕府天文台など、抜けているところもあるが、奥多摩の日食供養塔など、初めての紹介に目を見張るものも多数ある。筆者の方々が望むように、同書片手に日本各地天文施設をツアーされる人が一人でも多くいて欲しい。