- 恒星社厚生閣
- 262ページ
- 定価 3080円
副題にあるとおり、現在ボイジャーは太陽圏を離脱し、5万年後グリーゼ445、30万年後シリウスの近傍を通過する。もし、ボイジャー2号からシリウスを見たとすれば、同星は地球から見る現在のシリウスの4倍(つまり1等半)も明るく見えるはずだそうだ。凄いですよ! 大接近時の火星か、衝時の木星以上だろう。だが、それでもボイジャーは星間空間旅行者であり、銀河空間間旅行者ではない。後者になるには、なんと現速度の約15倍(時速160万km)で飛ばなければならないそうだ。
いや、まさしくSF的な話。でも皆さん、ボイジャーが飛行を続けているのは、現時点でも事実である。そして人類は既にそれを成し遂げてしまったのだ。いかにコロナ感染症で苦しんでいても、やがて必ずやそれを撲滅し、乗り越えられるに違いない。本書を読んで、まずそれが第一読後感だ。著者は1965年生まれの(評者から見て)若手の研究者。アリゾナ大学教授で全米惑星協会会長。2011年カール・セーガン・メダルの受賞者。つまり、第一級の学者である。評者のような変光星屋には全く出る幕がないが、ボイジャーの活躍によって、本当に一つの時代が幕を閉じたと実感している。本書は、そのメモリーとして、読者の皆さんの書棚を飾る本になってほしいと、心より願っている。