- 太田出版
- 240ページ
- 定価 2420円
評者が読んだ本の中で最も異彩を放つ本。こんな本これまでに読んだことがなかった、面白い本である。毎晩変光星の観測に明け暮れている評者だが、星のきらめき具合や背景夜空の明るさなどは、毎回数値で表現し続けている。10分程度で暗闇に目が慣れると、実は変光星の肉眼観測で最も大事な光階値が格段にアップするのは、変光星観測者にとっては常識中の大常識だ。その際にも影響のある光害が、掃除機効果(本書第一章29ページ)をもたらすとか、動物の交尾本能を失わせる、あるいは大量死を発生させるなど、生物にとって大問題なのだという視点を、本書は評者に与えてくれた。
読者の皆さんは、日没後に三種類の薄明が起こることをご存じだろう。市民薄明(常用薄明とも)、航海薄明(航洋薄明とも)、そして天文薄明だ。太陽が地平線下何度になるとそれらになるのかは、本書でご承知いただきたい。
一方、現代宇宙論でとくに理解が必要なのが、ダークマターとダークエネルギーの知識。実は、この宇宙がダークで取り囲まれているという認識が、現代では常識なのだ。