- ナカニシヤ出版
- 18.8×12.8cm、272ページ
- ISBN 978-4779511226
- 価格 2,700円
書店で初対面した折り、タイトルを宇宙「論」理学と読んでしまい、再度よく見たら宇宙「倫」理学で2度ビックリした。この70年間どちらのタイトルでも初体験だったからである。論理なら科学書としてまだしも、倫理ってこれまであったかな? だった。でも、副題を見て、あぁこれは時代に合った、というより時代が要求しているのだなと悟り、これは本書評でぜひ取り上げる必要があると決定した次第。
かねてから評者は、もしロケット内やスペース・コロニー内で多国の飛行士らの間にもめ事が起こり、犯罪が発生したら、誰がどこの機関がどこの法律によって判断するのかということを考えていた。要するにたとえ二人や三人であっても、これは国際問題なのだ。
特にそれが人ではなく、ロボットや人工知能だったらどうしたらよいのか。そういう時代に今や差し掛かっているのである。本書は、そのあたりをロケット開発者でも科学者でもない、ある国立大学の社会学部を卒業した、全くの文系の人が文系の立場・観点から深く、かつ慎重に書いているものである。なるほど、こういう方々はこういう風に考えるのだということを深く新鮮に学ばせてもらったわけである。本書はその意味で、これからの宇宙開発のあり方を考えさせてくれる好適な本となった。ぜひ、宇宙開発に関心をお持ちになっている多くの皆さんに御熟読いただきたい好書である。