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Book Review

金井三男金井三男さんによる書評

星ナビ星ナビ「月刊ほんナビ」に掲載の書評(原智子さん他)

編集部オンラインニュース編集部による書評

ビクトリア時代のアマチュア天文学 19世紀イギリスの天文趣味と天文研究

表紙写真

  • アラン・チャップマン 著/角田玉青・日本ハーシェル協会 共訳
  • 産業図書株式会社
  • 26cm×19cm、428ページ
  • ISBN4-7828-0160-2 
  • 価格 5,250円

著者がグランドアマチュアと呼ぶ(天文を職業としない)人たちの歴史を総まとめした大著である。だが、わが国のアマチュア天文学史を連想したら誤る。著者によると、グリニジ天文台初代台長フラムスチードも二代目台長ハレーも、決して自活に十分なサラリーをもらっていなかったという意味でプロとはいえず、初代プロは第七代台長エアリーだという。同時代、公設天文台や大学のプロだった欧州大陸の天文学者とは異なり、イギリスとアメリカは、天文学は仕事としないアマチュアが仕事をしたと著者は主張し、その裏づけを膨大な資料とともに、この本で提示した。目を見張るすばらしい研究内容であり、著者のライフワークである。天文学史研究者および愛好者必読の本。もちろん、本文300ページ弱、注釈100ページを超え(!)、索引付きで読み応えは十分すぎるほどある。書店でこの本を目にした評者は、値段のあまり一晩寝ずに考えたが、翌日購入を決めた。

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