- 草思社
- 15.4×10.6cm、534ページ
- ISBN 978-4794222312
- 価格 1,296円
本書は、宇宙論の専門書である。よって、他の宇宙論書同様易しい本ではない。だが、楽しい本。皆さん、ホット・インフレーションやハイブリッド・インフレーションを聞いたことがありますか? あるいは、ハイパー・インフレーション、アシスティド・インフレーション、インフィニティブ・インフレーション、エクステンション・インフレーション、カオス的インフレーション、ダブル・インフレーション、ウィーク・スケール・インフレーション、ハイパーナチュラル・インフレーション…その他色々。
なんじゃそれ? ですよね。要するにインフレーション理論の基本としての急激膨張は共有されているが、場の数やポテンシャル・エネルギーの形式は各論異なるというもの。詳細な相違について詳述はされていないが、いずれにしても今やインフレーション理論がかくも詳しく研究されているということが判る。
またビックリするのは、インフレーション前の宇宙が直径がたった10-26mの領域で同じくたった10kgしかなかったこと。本書を熟読すれば、そんなことがおぼろげながらとはいえ判るようになるのだ。一方で、2004年に打ち上げられたグラヴィティプローブBという衛星によって、地球の自転により引き起こされる座標の引き摺りが検証されたそうだ。宇宙論はそこまで来ているのが、本書によって判るのだ。完読をお勧めしたい。