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Book Review

金井三男金井三男さんによる書評

星ナビ星ナビ「月刊ほんナビ」に掲載の書評(原智子さん他)

編集部オンラインニュース編集部による書評

僕らは星のかけら 原子をつくった魔法の炉を探して

表紙写真

  • マーカス・チャウン 著/糸川 洋 訳
  • ソフトバンククリエイティブ
  • A6判、446ページ
  • ISBN4-535-78423-X
  • 価格 945円

長年、天文学のあちこちをつまみ喰いして来た評者にとって、これまでこれほど面白く完読できた宇宙核物理学の本に出会ったことはなかった。この手の専門書では極めて異例なことに、数式と思しきものがただの一行も出て来ず、それなのにわかりやすいというのはほとんど奇跡に近い。生物物理学的にほとんど解明不能な評者の脳ミソでも、理解の域に達することができたのは、ひとえに、電波天文学者を卒業しサイエンスライターを業とする著者の力量と、注釈の適切さから推し量れる天体物理学知識の深さを持つ訳者の、こなれた科学的和訳がその原因であるはずだ。特に恒星物理学史を賑わした多数の学者たちのバランスがとれた人物及び業績紹介の中で、著者が最も尊敬するというホイルの紹介には、著者の両親が亡くなるまで将来ノーベル賞受賞とベストセラー生産を疑わなかったという家庭で培われた人間的温もりを感じることができる。決して易しい内容ではないが、天文学の勉強を志す若い人や、アマチュア観測家、プラネタリウム解説者、そして何よりも、天文普及に携わる天文学者に、おすすめしたい本。一般の人が、星の内部構造・エネルギー進化・ビッグバンなど、宇宙核物理学のどこを難しく思い挫折するかが、よく把握できる本だからだ。

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