- ソフトバンククリエイティブ
- 新書判、242ページ
- ISBN4-7973-3731-1
- 価格 1,000円
評者は常々、科学書とりわけ天文書は次のように分類できると考えている。(1)初級書(概説書)、(2)中級書(詳説書)、(3)上級書(研究書)の三種だ。多くの本は(1)または(2)になる。本書は第一部が(1)、第二部が(2)であるが、他の「中級書」と異なる点を持つのが大きな特徴だ。それは、読んでいるとどうしても(3)の上級書に進みたくなる点である。「研究のレベル」は別の話として、この本を読んで「研究に」進学してみたくなるのは、現在研究の最前線にいる著者たちの熱気がひしひしと伝わってくるからだ。古い知見をばっさり捨て、例えば惑星を2種ではなく、地球型(岩石惑星)と木星型(ガス惑星)と天王星型(氷惑星)の3種に分けたのがその典型だ。第二部と第一部とはレベルに相当な差があり、第二部は数式がないがために(3)の分類ではなく(2)に滑り込んだようなもの。従って、内容はまさに最新の知見であり、この低価格はまさに儲けものである。
第1部は編集者による最新天文学入門、第2部は宇宙の最前線と題して、第一線で活躍中の8人の研究者が太陽系の起源や宇宙の高エネルギー現象、宇宙論などの各分野を解説。オールカラーの新書で、この10年間に明らかになった宇宙研究の最前線を概観できる。