Location:

Book Review

金井三男金井三男さんによる書評

星ナビ星ナビ「月刊ほんナビ」に掲載の書評(原智子さん他)

編集部オンラインニュース編集部による書評

カラー図解でわかる ブラックホール宇宙

表紙写真

  • 福江 純 著
  • ソフトバンククリエイティブ
  • 新書変型判、240ページ
  • ISBN 978-4-7973-5117-0
  • 価格 1,000円

ブラックホール「教」の福江純「教祖」が布教用に著された「聖書」。現代にふさわしく恐ろしくビジュアルな伝道の書。何でも飲み込むパワーを持つ宗教には付きものの多種多様な誤解を、バッタバッタと切り捨てていく痛快無比さは、他のブラックホール教本の追随を許さない。

なにしろ、冒頭から物理の神様やティー子タウ子という名の天使が登場し、パラドックスをはじめ、蒸発や短縮、スターボウ、テレル回転、おばQ定理、マゴリアン関係、ワープアウト、プラズマガン、クルスカル図などなど、ポンポンと聞いたこともない宗教用語がポンポンと飛び出てくるのだ。とても天文の本とは思えないが、はくちょう座X-1、SS434、3C273、M87などが登場すると、妙に安心する。ただし、ソーン・チトカワ天体、擬星などは本書で初めて教えていただいた。

評者は考え込んだ。いったいブラックホールは天国か地獄か? 一度飛び込むと永久に戻ることができないのか。でもホワイトホールもあるという。お釈迦様のお慈悲で下ろされるクモの糸を、手繰ることもできるかも。

それにしても、これまでの数々の著書でも理解できるように、教祖様は説法がお上手である。さすが大阪教育大学の教授様。このありがたい聖書を評者は、にやにやしながら一気に読み干すことができた。ぜひ、本書によって多数の信者を獲得し、日本ばかりでなく全世界にブラックホール教を広めていただきたい。

この本を購入する [Amazon.co.jp]