- 秀和システム
- 19.2 x 13 x 1.8cm 、197ページ
- 2009年10月
- ISBN 978-4798024196
- 価格 1260円
仕分け人という人々が活躍し、物議を醸した例の事変。科学は人類発展のために必要不可欠と信じる評者は、だからこそ天文書評家という新専門ジャンルで頑張っているのだが、宇宙線に関する一般普及書が以前から欲しかった。そこで、本屋の夜回りを繰り返す中で、ついに出会った、それが本書である。
タイトルにある如く、宇宙線と太陽・超新星・活動銀河・ガンマ線バーストなどとの関連がホントによーくわかる。しかもそれが普及書のレベルをはるかに超えている。これは著者の文章力の賜物である。その闊達な文章力といかにも物理学者らしい単刀直入な図版とで、基礎的な知識はバッチリである。また、チベット・エアシャワー・ガンマとか、テレスコープ・アレイ、カンガルー、カムランド、アイスキューブ、太陽中性子観測実験など、これ素人に仕分けられちゃったのでは?と心配になるが、評者をしてとてもワクワクさせる最新研究の丁寧な紹介も、もちろんバッチリである。絶対に日本は科学技術で二番ではないことがわかりますよ!ともかく、本書はオモシロイ。不況を恐れる方々には絶対お勧めしたい本だ!
一つだけよーくわからないことがある。評者は著者と一面識もない。したがって、本書の隅から隅まで著者のお立場がわかる部分を探偵したのだが、日本物理学会に所属されている研究者であること以外には、東大か東北大か千葉大の方か、あるいはチベットかオーストラリアの方か、もちろん年齢も経歴も含めてわからなかった。すなわち、会員名簿まで当たってはいないと言うこと。でも、一つだけ断言できるのは、著者がとても宇宙線研究に関して優秀な方だ、ということである。