- 彩図社
- 208ページ
- 定価 1540円
待ちに待っていた内容の本。かねてから評者は、こういう危機(鬼気と言っても良い)が訪れると考えていた。このところ多数回報道される大火球目撃の映像を見て、その感を強めている。自然環境の火球ならなんと言うこともないが、もし人工物体なら燃え尽きずに落下した場合、落ちる先が危険になるし、落ちる先と言えば近隣国のミサイル乱発も大問題だ。また、月開発と言えば昔は浦島太郎ばりのロマンに溢れていたが、今ではそこに行くまでにばらまかれる金属片が地球を取り巻く塵の皮のようになり、本書表紙を飾るこの様はとても美しくは見えない。これ絶対に芸術だとは思わないでほしい。
つい最近、「はやぶさ2」が地球に持ち帰った岩石試料が科学的に分析され、リュウグウが今から500万年前に地球・火星間の現在位置にやってきたことが明らかにされた。評者もかつて相模原市立博物館で行われた展示会でそれを拝見し、いやぁリアル現代感に浸ったモノだ。しかし、本書156ページに示されているデブリの数(2022年8月現在)、10cm以上 3万6000個/1〜10cm 約100万個/1mm〜1cm 何と1億3000万個! を見て、ミサイル以上の恐怖を感じた。とりあえずは宇宙空間を漂っているのだが、いずれ大気圏に落ちてくることや、今後も爆発的に増え続けることをぜひ読者の皆さんに、深刻に考えていただきたい。本書は他にも深刻な話が盛りだくさんである。ぜひご購読を!