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Book Review

金井三男金井三男さんによる書評

星ナビ星ナビ「月刊ほんナビ」に掲載の書評(原智子さん他)

編集部オンラインニュース編集部による書評

ハーシェル天体ウォッチング

表紙写真

  • ジェームズ・マラニー 著/角田玉青 訳
  • 地人書館
  • A5判、246ページ
  • ISBN 978-4-8052-0813-7
  • 価格 2,940円

有名なメシエ天体に対して、ハーシェル天体というのはご存じだろうか? 例えばM20三裂星雲はIV-41で、M76小亜鈴星雲はI-193、M104ソンブレロ銀河はI-43。ただ、M31アンドロメダ大銀河やM42オリオン大星雲、M45プレアデス星団など大多数のメシエ天体は含まれていないが、ハーシェル天体の方が2500個と110個のメシエ天体に対して圧倒的に多い。

ボーッと見えるのを彗星と間違えないためにリストアップしたメシエ天体とは異なり、ハーシェル天体は記名法からも分かるように、最初から天体の分類を意識して作られている。本書はその分類に従った天体の見方・楽しみ方の案内書である。著者が選んだ天体は重複を含めて618個。第I分類が明るい星雲288個、IVが惑星状星雲80個、Vがきわめて大型の星雲52個、VIがきわめて密集した多数の星からなる星団42個、VIIが大小の星からなる密集した星団67個、VIIIが雑然と散在した星団89個。IIとIIIに分類された天体は見つけにくく、見栄えもしないので省略されている。

本書の目的は、小口径望遠鏡でも十分に楽しめる星雲・星団を網羅し、天体の種類を観望から学ぶことにある。だがメシエ・マラソンを何度も完走なさっている方は、ご自分の望遠鏡の限界等級以内の天体をマラソンされてはいかがだろうか。

また、第4章「観測のテクニック」には視覚に関するたいへん有益な記事がある。暗順応・そらし目・色彩知覚・細部を見分ける力(すなわち鋭眼力)の鍛錬などは一読に値する。その意味で、星雲・星団の観測者ばかりでなく、超新星・変光星・彗星・惑星観測専門の方にも本書をおすすめしたい。

海王星の発見者として知られるウィリアム・ハーシェルの業績の一つに、約2500個の星雲・星団を含むカタログを作成したことが挙げられる。それがハーシェル天体だ。天体はクラスIからVIIIというカテゴリーに分けられ、クラスII(暗い星雲)とクラスIII(非常に暗い星雲)を除くと615個となることから、メシエ天体観望の次のステップとして、欧米の天文ファンの間で観望が流行したという。本書ではハーシェル天体の中から、より見やすい天体165個について、データとハーシェルのコメントをまとめ、著者による解説を加えている。

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