- 旬報社
- 四六判、189ページ
- ISBN 978-4-8451-1107-7
- 価格 1,575円
鳴沢さんの前著「137億光年のヒトミ」のときもそうだったが、著者の主張が最も良く表現されていそうな章から読み始めた。本書の場合は第6章「地球外文明探査のこれから」だ。「SETIは一個人の観測テーマではなく、地球人として継続されるべきものである。それはただ、『地球外に自分と同様な存在がいるか』という人類共通の疑問の答えを知りたいからである(一部評者補足)」という著者の意見に全く同感だ。
どのような分野の研究も、例えば評者の食変光星観測でも、端から見れば「何でそんなことを?」と思われるだろう。しかし、著者の研究動機が確かであることを、読者は読み取れるはずである。その意味で、本書はOSETIに関心がある方、少なくともSETIはUFOと関係ないと確信している方々には、非常に参考になる本であるはずだ。
本書はとても気軽に読むことができる。それは、読者に1995年(ペガスス座51番星の系外惑星が発見された記念の年)に生まれていたか尋ねていることからわかるように、若者向けに書かれているからだ。また、楽しく役立つエピソードも多く紹介されている。家庭のパソコンでもインターネットから恒星のスペクトルをダウンロードすることでOSETIができるという話題に、評者は心が躍った。こんな時代になったのだなぁと実感でき、この楽しさはぜひ星好きの方に紹介すべきだと決心したほどである。
若者だけでなく、たくさんの星好きのみなさんに鳴沢さんの著書をおすすめしたい。