Location:

Book Review

金井三男金井三男さんによる書評

星ナビ星ナビ「月刊ほんナビ」に掲載の書評(原智子さん他)

編集部オンラインニュース編集部による書評

新説 宇宙生命学

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

Amazonで買う
新説 宇宙生命学

  • 日下部展彦 著、田村元秀 監修
  • カンゼン
  • 240ページ
  • 定価 1980円

齢70代になって、やっぱり天文学は変わったと実感を持ったのが本書。本書を読み始めた途端、書斎の棚をひっくり返し、10年以上前の、昔は宇宙生物学とか地球外生命科学など多数の呼び名が提案されていたこの分野の本を引っ張り出し、併読してしまった。中でもフランソワ・ロランら3名の共著『宇宙生物学への招待』(白水社)と、大島泰朗著『宇宙生物学とET探査』(朝日文庫)の2冊は、共にお勧め。

評者の学生時代は、化学と生物学は、まるでいわゆる「タコ型火星人」の時代で、およそ天文学とは無関係、遠い存在だった。同じ理科系のくくりでも、化学の研究室の前を通りかかると、「俺には関係ない」だった。だが、現代は全く時代が変わった。系外惑星が発見され、それもむしろ太陽系型惑星の方が例外に近くなってしまい、私ら地球人がむしろ変な生物なのかもしれないとなると、いやぁ、これは被害甚大ですよ!

おそらく天文学や宇宙科学、あるいは物理学ばかりでなく、哲学や宗教などにも大きな変革が、というより否定を含めて大変化がもたらされるかもと、評者は思うに至った。人間が宇宙では当たり前ではないかもという強迫観念すら抱いてしまう。たとえば、普通の宇宙人は天国や地獄や罪の意識をどんな姿にとらえているのでしょうか…。天文学も楽しいけれど宇宙生物学もたいへん面白いという気持ちが、本書を読むと沸々と湧いてきますよ! お勧めします。

この本を購入する Amazonで買う