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金井三男金井三男さんによる書評

星ナビ星ナビ「月刊ほんナビ」に掲載の書評(原智子さん他)

編集部オンラインニュース編集部による書評

中国、「宇宙強国」への野望

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中国、「宇宙強国」への野望
 

  • 寺門和夫 著
  • ウェッジ
  • 18.8×13cm、241ページ
  • ISBN 978-4863101777
  • 価格 1512円

書店の書棚に新刊書として山積みされていた本書は、その赤表紙がひときわ目立っていたが、そればかりでなく筆者の目を引いたのは、“中国”である。今まで中国関係の本は、最近雨後の竹の子のようにわき出してきたトランプ関連の本とは異なり、同国の宇宙開発を正面切って調査した、それも並の調査でなく多分ことごとく書かれたものとして、つまり宇宙に上げられたロケット全機を年代順に記した資料としてのものは、これまでの日本で出版されたことがなかったように思える。宇宙開発といえば、NASA、ESA、IKI(ロシア)、JAXAの仕事が主で、中国とインドはほとんど話題に上らず、ましてやその記事にお目にかかることはできなかった。

本書は、中国における宇宙開発の歴史から説明が始まって、現状と将来を見据えているものである。評者が本書を読んで一番深刻に感じているのが、宇宙開発に巨額な費用がかかるため、どうしても軍事と関わらざるを得ないということであり、それに関連して自国の悲惨な状況を省みず人工衛星と称してミサイルを打ち上げ続けている某国の存在は、果たして宇宙開発が人類の進歩に寄与するのかということである。だが、フロンティアは人類の発展に寄与することを信じて本書を読むべきだ。著者の意図とはいささか異なるかもしれないが、現代政治について深く考えさせられる好書で、みなさんにお勧めしたい。

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