- C&R研究所 刊
- 13×18.8cm、212ページ
- 2015年2月
- ISBN 978-4781612065
- 価格 1,620円
一介の天体観測者でしかない「星のおじいさん」が一番苦手とする天文学が、宇宙論。それも相対性理論による宇宙論。もちろん現代宇宙論は、相対論を踏まえなければ、宇宙背景放射・インフレーション宇宙・加速膨張・ダーク(本書では暗黒)エネルギー・超弦理論などが語れないことは重々承知の上だが、それにしてもアルゴルの極小時刻がずれただの、今年のミラ極大がやけに明るかった、あるいは今晩はまだベテルギウスが無事だったなどを観測して無事に就寝する繰り返しの筆者にとって、多次元宇宙はもうどうでもいいなのだ、普通は。
ところが本書を最初は嫌々ながら読み始めた書評家の興味は、「ほー、理論天文学者の宇宙の見方はこうなのか」を経て、第3章宇宙はどのように進化してきたの?(60頁目)あたりから加速膨張を開始し、第5章暗黒エネルギーと暗黒物質に包まれた現在の宇宙の状況は?(146頁目)で遂にビッグバン!最後の超弦理論で遂に安らかに御就寝となったのである。やっぱり宇宙はとてつもなく面白い。
ただし、本書を完璧に理解するには、物理学のイロハをマスターしておく必要はあります。つまり、本書は決して生やさしい本ではありません。だが、何日何か月何年かかっても、完読すべき宇宙論の本であることは確かです。みなさん、ぜひ頑張ってください。