- INAXライブミュージアム 刊
- 26.2 x 18.7 cm、63ページ
- 2014年4月
- ISBN 978-4-86480-904-7
INAXライブミュージアム(愛知県常滑市)での同名企画展(2014年4月26日〜9月7日開催)の関連書籍。日時計と六分儀にテーマを絞った写真集と言ってもよいが、記事もきわめて内容と密度が高い珍しい本である。筆者がまず注目したのは、小野行雄氏による携帯型日時計のコレクション。50点を超える美しいアルバムはどれも貴重なものばかり。見ているだけで心豊かになる。昔手作りしたことがあるコマ型や赤道儀型、水平型など普通の携帯日時計だけでなく、指輪、ペンダント、根付などなど、腕時計が普及する以前の傑作集だ。
また、六分儀や八分儀のアルバムもほれぼれとするものばかり。20年ほど前、私用で六分儀を購入しようと思い、東京神田の専門店に行ったら、1台16万円と聞いてすごすご帰ってきたことを思い出す。学生時代には、水銀を満たしたバット(皿)を水平線に代用して六分儀での測量を実習したことがあるが、実際に航海で使用した経験はない。この本ではそのしくみについても説明されている。
世界各地の建物に掛かる日時計の写真群も目を奪われる。そしてもう一つ、同書のコレクションで紹介されているのが六分儀等が描かれた切手と国旗・国章で、いずれも必見の価値がある。
そのうえ、日時計の原理の説明は、難解ではあるもののちゃんと三角法を使って詳述されている。カメラの前身「カメラ・オブスキュラ」の解説も楽しく、太陽に関する民話の紹介も嬉しい限り。こんな本はこれまでめったになかったですよ。