- 東京図書出版
- 208ページ
- 定価 1100円
本書の題名は…夜話とされているが、こだわり天文夜話のようなお気軽に読める夜話ではない。明確に申し上げれば、日本の宇宙開発におけるデータ集である。残念ながら、何年何月としか書かれていないため、評者が何年何月何日別に記録している天文カレンダーに記されることはなかったが、天文略語集にはワンサと記録させていただいた。
なにしろ、CS、ECS、BSE、DIGS、NICE、FMPT、S&PA、CDS、B/H、RCC、ADEOS、TRMM、COMETS、PPP…等々、メチャクチャ本書には略語が登場しますよ。あぁ、これが現代なのだなと、ホレボレ実感させていただいた。
略語はともかく、我が国の宇宙開発は天文学とは切っても切れない関係にある。あの糸川英夫先生(と言っても評者の先生ではもちろんない)が指導されたペンシルロケットの開発物語や、秋田県道川や種子島ロケット射場の建設、ISAS、NASDA、JAXA(またまた略語集)の発展が、事細かに書かれており、日本でこれまでにどのような宇宙開発が進められてきたかを、現場から記録された歴史を語る本としては、これ以上またとない記録集である。ぜひとも参考にされたい。宇宙庁の設立も、今後どうなるかは、もう喫緊の話となり、今後どのような展開になるかハラハラドキドキですね。