- 大阪大学出版会 刊
- 13×18.8cm、238ページ
- ISBN 978-4872594331
- 価格 1,728円
表紙や随所に見られる楽しいイラスト群。著者自筆のもので、「はじめに」に記されているように如何にも著者が研究を楽しんでおられる様がアリアリ。実は著者は大阪大学の教授を定年退職後、東京芸大になんと学生として入学された方。評者には誠にウラヤマシイ。そう、科学研究は楽しいのだ。評者は特に隕石研究が他の天文分野と違って実物を手に取ることができるのが、これまたウラヤマシイ。評者の五島時代の先生、村山定男先生のそばにいても、いつもそれを感じていた。
隕石が墜ちてきても極めて科学者的に冷静に対処できるのが、隕石学者だと思う。たとえチェリャビンスク隕石(つい最近)、ツングースカ隕石(1908年空中爆発)、あるいはチクシュルーブ隕石(恐竜を絶滅させた)クラスの落下だったとしてもである。従って、本書はいわゆる天文学・宇宙物理学の本とは大いに異なる。言ってみれば岩石鉱物学(すなわち化学)的天文学であることが、本書全編を通じて良くお判りになることだ。つまり、良くありがちな数式がほとんど無い(アインシュタインの重力場方程式を除く)。このため、随筆的に気楽に読み進むことができるのだ。こういった見方から宇宙を易しく語った本が最近無かったので、出色の本となった。ただ、コラム4の記事にガリレオが絵が上手だったことは書き加えていただければ、とだけ指摘しておこう。