- 暗黒通信団
- 32ページ
- ISBN 978-4873102283
- 価格 324円
例によって、出版社(というより団体)も著者の正体も不明の本シリーズ。近いうちに調べに行こうかと思ったが、住所は私書箱番号だけ。電話番号なし。著者略歴なども無記入。評者学生時代(半世紀前)、大学の物理研究室では、ヨレヨレの白衣(評者の天文学研究室では捨ててあった化学研究室のシミばかりの黒衣を拾って再利用した、何しろ防寒着は白い必要なし)をまとった実験物理の皆さんと、パリパリの真っ白な理論物理の格好マンとが幅をきかせていたが、著者は理論実験物理学者なのだろう。何しろ、皆さんの家に(我が家にも)ある電子レンジで重力波を作ろうというもくろみなのだから。
だがあいにくなことで、22ページ(ごく小冊子なので本書は32ページまでしかない)に書かれているように、本書の内容は、理論家の計算練習程度の意味しかないという。なぜ著者は本書を執筆したのかと自問自答しているのだ! 特に意味はないそうで、締め言葉はエル・プサイ・コングルゥ(ウィキペディアにあるそうですよ)。ともかく、本書は理論家が好むように謎だらけ。行列式やインテグラルなど、得意とされる方はお読みください。
でもね、こういった発想そのものが凄いじゃありませんか。評者は2度と読みたくはないが、我が家の書斎にずっとしまっておこうと考えている。何しろサイズも厚みも、ほとんどない本ですから。好きな人にはお勧めします。