- 雲母書房
- A5判、208ページ
- 2009年8月
- ISBN 978-4-87672-277-8
- 価格 1,890円
東京は新宿西口にある大書店の天文専門書コーナーで初めて本書と対面したとき、評者は思わずニヤニヤしてしまった。当然すぐにカウンターに並んだ(列をつくるほど人はいなかったが…)。あなた、我が家でも愛用している家庭用浄水器が、アポロ計画の尿液リサイクルシステム(名前を聞いただけでゾクゾクと来る)を応用したものだって知っていました?あるいは、ちまたで爆発的に流行っている体験型ゲーム・システムが宇宙飛行士の訓練システムからのものだったとか、元祖電気自動車は月面ローバーだったとか、形状記憶シャツが太陽電池パネルの展開機構の転用だったとか。
衛星を使ったGPSがカーナビゲーションに転用されているのはいまや常識だが、このように宇宙技術の応用は、いまや当たり前のものになりつつある。本書ではそういったさまざまな技術の応用(スピンオフと呼ばれる)例のほか、究極の技術といわれる宇宙建築のテクニックも紹介され、未完成の技術ながら16名の凄い専門家集団がそれぞれの語り口でその広大な夢を語る。
宇宙に拘わる技術に特化した本といってよく、上下感覚がめちゃくちゃになる宇宙船内をどのようにカラーコーディネートしたらとか、宇宙でキンニクマンや美人でありつづけるにはどうしたらとか、究極の宇宙ホテルの過ごし方とか、水がない月面でのコンクリート建築とか、無重力環境下でのシャワーやお風呂の入り方、ごみエネルギー変換システムを利用した究極の水耕栽培での野菜の育て方など、まさに目が点!
日食病なんてもう古い。これからは宇宙病にかかって、宇宙ホテルに星を見に行きませんか、みなさん!