- キノブックス 刊
- 21×15cm、147ページ
- ISBN 978-4908059339
- 価格 1,620円
浦和で児童向け講座の手伝いをした際に立ち寄った書店で購入した本書を早速子供たちに紹介し、大きくなったら宇宙に行きたい? と訊いたらみんな目を輝かせ盛り上がった。それほど宇宙は魅力的らしい。確かに本書にあるように天王星の海にはダイヤモンドの雹が降っているかもとか、重力の小さい月面では硬い岩の上でも布団の上に寝ているような気分になるとか。ただ、シャワーは水がのろいので爽やかではないとか、火星の赤い空に青い夕陽、強烈な砂嵐、更に雲もなく雨も雪も降らない寒い火星世界で特に日本人は何を思うだろうか? 反対に上を見れば雲ばかりで、硫酸の雨が降り、かつ日影でも干物になってしまうほど高温の金星や系外惑星には、皆さんは10kgあたり1000万円という費用をかけて、行ってみたいですか?
本書はそんな未来像をじっくりと考えたい皆さんに、格好の参考書である。今や一部の国や地域に怯えている日本人が、スペースコロニーでは宗教観・言語・価値観の相違に恐らく脅威を感じるに違いない。また、何らかの危機が訪れたときには、果たして互いに対話ができるのだろうか。我々が現在の地球に生まれ住んでいることを、ぜひとも感謝しよう。と同時に、積極的な未来志向で現実と現状を打破しないといけないことを、しみじみと大人には考えさせる好著である。決して現実離れした児童書ではありません。