- 日経ナショナルジオグラフィック社
- A4変型判、122ページ
- ISBN4-931450-92-X
- 価格 1,470円
「この地球をありのままに見つめること…(中略)…私たち自身を眺めることにつながるのだ」という劇作家マクリーシュの言葉が、米国初期の宇宙飛行士ジョン・グレンの寄稿文で紹介されているが、評者はこの本の出版趣旨がまさにここにあると評価する。
大判高解像度写真を中心とする本書の圧倒的な映像は、少なくとも評者が見たこともない歴史的に珍しいものを数多く含み、宇宙から地球を見ることはできない一般人にとって、この上ない擬似的体験を与えてくれる。悶絶死という悲しい運命を、そのときは知る由もない打ち上げ前のライカ(犬)、17Gに歯を食いしばって耐えるハム(チンパンジー)、ロシア人宇宙飛行士恒例の立小便、焼け焦げたアポロ1号司令船、爆発したスペースシャトル・チャレンジャー号とコロンビア号の様子や乗組員、そして、月に行ったアポロの映像などなど、宇宙開発の歴史と現状について多数の写真が語る言葉に、評者はしばし考え込まされてしまった。
さらに、本書後半を飾るこれまた多数の天体写真は、これを圧倒してやまない価値ある記録写真集だ。