- 日本経済新聞出版社
- 27.4×20.6cm、116ページ
- ASIN B01IW56QOI
- 価格 1,440円
月刊誌なので、本書評が出たときには書店雑誌コーナーのバックナンバーコーナーに並んでいるかもしれないがご容赦を。でも本誌をご紹介せねばならないのは、他でもなくラニアケア超銀河団について、我が国でこれほど詳細に紹介されているのは本誌しかないからだ。一昨年末から評者は名刺に、本紙記事冒頭部に記されている「宇宙住所」すなわち宇宙内/ラニアケア超銀河団/おとめ座超銀河団近傍/…を書いている。そのラニアケアがなぜ重要なのかが本誌をお読みになれば、深く判ることになる。特にその発見物語はおもしろいに加えて、現代宇宙物理学がよく解ることになる。
中でも、宇宙を地形になぞらえて論じているのは、特におもしろく、局部銀河群全体がケンタウルス座方向にある謎の質量集積に向かって、秒速600kmを超える高速で驀進中であることをご存じだったろうか。また、2500万光年先まで広がるローカルシートというものも初耳ではないだろうか。ローカルシートがローカルボイドの壁で、後者が膨張することでシート全体がポンプ座雲・かじき座雲・しし座スプールの方向に押されている…などなど、理解はできるが想像を遙かに超越している話ばかり。
スーパーボイドの話題や梶田先生の話、ぐっと方向転換だが渡部先生の天文遺産の話も実に有益ですよ。広く皆さんにお読みいただきたい。創刊45周年記念号だから。