Book Review

金井三男金井三男さんによる書評

星ナビ星ナビ「月刊ほんナビ」に掲載の書評(原智子さん他)

編集部オンラインニュース編集部による書評

星ナビ2011年1月号掲載
「はやぶさ」にもっと接近せよ!関連本が続々登場

小惑星探査機「はやぶさ」のカプセルから小惑星イトカワ由来の微粒子を発見!という、うれしいニュースで日本中が再び沸いた。出版界でも「はやぶさ」関連本が続々と登場しているので、それらをまとめて紹介しよう。

まずは、「はやぶさ」プロジェクトのスポークスマンともいえる、的川泰宣氏の著作を3冊。「小惑星探査機『はやぶさ』の奇跡 挑戦と復活の2592日」 は、タイトルが示す通り「はやぶさ」の計画・開発から打ち上げ、そして帰還までの記録がつづられている。2592日とは打ち上げから地球帰還までの日数だが、開発期間や「はやぶさ」前の日本の探査機の歴史も紹介されているので、「2592+α日の挑戦の記録」といえる。

「喜・怒・哀・楽の宇宙日記3 いのちの絆を宇宙に求めて」 は、NPO「子ども・宇宙・未来の会(KU-MA)」発行のメールマガジンを日本惑星協会のものと合わせて編集した、前著「人類の星の時間を見つめて 喜・怒・哀・楽の宇宙日記2」の続編。2008年6月から今年8月までの記録で、当然その内容には「はやぶさ」がたびたび登場する。当時の現場のリアルな状況が伝わる一冊。

「小惑星探査機はやぶさ物語」 は、プロジェクトについてより掘り下げた内容になっている。卓越した統率力と決断力を備えたリーダーのもと、それぞれのメンバーが発想力と技術力を駆使し、かつてない忍耐と執念でプロジェクトを成功させる。多くの日本人が感動したのは、帰還成功という結果の裏側に“メンバー(個人)の力”と“プロジェクト(組織)の結束”を感じたからだろう。

さて、もう一冊の「小惑星探査機『はやぶさ』宇宙の旅」 は10歳の子どもでも読めるよう、わかりやすい内容がルビ入りで書かれている。「はやぶさ」プロジェクトの功績は、未来を担う子どもたちにこそ知ってほしいもの。この本を読んだ子どもたちの中から、宇宙探査に関わる人材が育つことを願いたい。