今月は、天文初心者や子ども、ライトな宇宙ファンが楽しく読める書籍を集めてみた。どの本にも工夫を凝らしたポイントがあるので、きっとあなたにも心ひかれる箇所があるだろう。
まずは、子どもだけでなくパパも(ママも!?)幼い頃から心躍らせたアニメ「宇宙戦艦ヤマト」シリーズの最新作に隠された天文知識を解説する「宇宙戦艦ヤマト2199でわかる天文学」。地球から大マゼラン銀河にあるというイスカンダルまでの道のりに登場する天体や現象について、「実在」と「架空」を示しながら科学的視点で分析している。ワープや波動砲など同作に欠かせない設定も、科学考証担当の天文学者が最新理論で紹介する。もはや、「子ども向けアニメだ」なんて侮れない。
「宙ガール☆篠原ともえの『星の教科書』」は、天文部出身の彼女の“ 天文愛”が詰まった一冊。惑星や四季の星座など基本的な情報はもちろん、女性らしい観測グッズやファッションも満載。昔ながらの月の楽しみ方は、現代の乙女も心くすぐられるのでは。
「マンガでわかる宇宙『超』入門」はタイトル通り、右ページにマンガを、左ページに文章と図解を載せて、見開き2ページでひとつの天文話題を紹介する新書本。高校2年生の女子天文部長と、1年生の男子新入部員と、謎のサルに似た生物が宇宙のあちこちを巡る。とにかく、手っ取り早く最新天文知識を得るには読みやすいだろう。といっても、ページ数も内容もぎっしり詰まっている。
次は、隕石のあらゆる情報と、スペースガードの役割を紹介した「巨大隕石から地球を守れ」。大きめの文字に読みがなをふり小学校中学年以上を対象にしているが、大人でもじゅうぶん読み応えがある内容だ。私たちの頭上に突如現れるかもしれない巨大隕石について、多方面からわかりやすく教えてくれる。
ここから紹介する3冊は、大判の書籍で、写真や絵を眺めて楽しめるものばかり。「スーパー3Dメガネで見よう!とびだす宇宙」は付属のスーパー3Dメガネ(クロマデプスメガネ)をかけると、文字や星が立体的に浮き上がって見える写真絵本。もしかしたら小さな子どもは「どうして飛び出して見えるの!?」という疑問の方に興味をひかれるかもしれないが、とにかくページをめくる楽しさから宇宙への関心がわくこともあるだろう。
そして、「佐藤勝彦の眠れなくなる宇宙入門」は、著者による一連の「眠れなくなる」シリーズのムック版。思わず「どれだけ私たちを眠れなくするつもり(笑)」と言ってしまいそうだが、今回は「我々はどこから来たのか」「我々は何者か」「我々はどこへ行くのか」という、P.ゴーギャンの有名なフレーズをテーマに、宇宙の誕生・生命・宇宙の未来について紹介する。各章の終わりにまとめられた「人間の宇宙観の変遷」も面白い。
最後は、宇宙を舞台にした物語の絵本「ほしのかえりみち」。主人公の「ぼく」は、家族4人で車に乗って家に帰る途中、星のような夜景を眺めているうちに、いつしか宇宙を旅するようになる。お話のエンディングは、まったく思いもよらぬ展開でかなり驚いた。たしかに、最初のページを見たとき、何だか不気味に感じたのはそのせいかも?たまには、こんな絵本を大人の視点で読むのも面白いかもしれない。