Book Review

金井三男金井三男さんによる書評

星ナビ星ナビ「月刊ほんナビ」に掲載の書評(原智子さん他)

編集部オンラインニュース編集部による書評

星ナビ2016年2月号掲載
2016年の天文現象を見逃さないために

年末年始になると「一年の天文現象の見所は何かな?」とそわそわするのは天文ファンなら誰もが経験するところ。現象によっては、有給休暇届けや夏期休暇・年末年始休暇のシフトの調整をさっさと出しておいたり、家族旅行の日程を相談する必要があるかもしれない。いずれにしても、スケジュールを決めるには、天文現象がいつ、どこで見られるのかを知る必要がある。

『アストロガイド星空年鑑』 は、一年を通じて見栄えのする天文現象を確認できるムック。巻頭で見逃せない天文現象を紹介した後で、ひと月ごとに見どころとなる現象をピックアップしているので、初心者にも安心して薦められるガイドブックだ。『“星空”年鑑』というタイトルでもわかるように、マニア向けの現象よりも、眼視で双眼鏡で、あるいは小口径の望遠鏡で気軽に楽しめる現象にフォーカス。ムック連動のDVD-Video/DVD-ROMのハイブリッドメディアが付録として付いているのも天文初心者にはありがたい。収録されたソフト『アストロガイドブラウザ』で、PC上でも天文現象を調べられる。

ちょっと本格的に天体観測をしたくなったら『天文年鑑』 だ。太陽や月、各惑星ごとに、位置や視直径、惑星面の中心経緯度といった基礎データが収められているほか、天体が別の天体を覆い隠す掩蔽(えんぺい)データも充実しているのも特徴。日食・月食はもちろん、月や惑星・小惑星が星を隠す恒星食、月の縁を恒星がかすめる接食データもあり、天体観測者必携のデータブックだ。

ところで、皆さんは手帳を使っているだろうか? Webベースのスケジューラーやスマートフォンの予定表が手軽に利用できるようになり、手帳を使うことはだいぶ少なくなってしまった。しかし重要な天文イベントや行動計画をさっと書き留めるのに、意外とアナログの手帳は便利である。『天文手帳』 は、週間スケジュールスタイルの手帳。その週の惑星の見やすさや、毎日の月齢や日出/日没時刻、月出/月没時刻、その日の天文現象がまとめられている。天体観測の記録で使用されるユリウス日の表示もある。基本的なデータを集めた「天文資料」が50ページ以上あるのも便利。

天文データだけでなく、気象、物理/化学、地学、生物、環境に関するあらゆるデータをまとめたデータブックが『理科年表』 だ。1925年創刊なので、今年で90年。着実にデータを集め、常に最新データに更新し続けてきたその姿勢に頭が下がる。A6判のポケット版とA5判の机上版がある。オフィシャルサイトで本書の帯にあるID・パスワードを登録すると、理科年表 第1冊(約300ページ)にアクセスできる。さらに、『理科年表プレミアム1925-2016 個人版』 も発刊された。第1冊から最新版までの全データに12か月間アクセスできる嬉しいライセンス付きだ。

日常に使うカレンダーでその日の現象を知りたい人には『星空ごよみ365日』 がオススメ。半年ごとに綴じられた2部構成の日めくりカレンダーだ。裏台紙を利用して壁に留めたり、同梱の専用スタンドで机上で利用できる。その日の天文現象や星空解説、毎日20時の南の空の星座が描かれている。その日に起こった過去のニュースや解説、季節の花や代表的な祭りの日程などもわかり、毎日めくるのが楽しみになるカレンダーだ。

本格的な天文カレンダーとして1976年から発行されているのは『太陽・月・星のこよみ』 。毎日の天文現象・月齢とともに、代表的な地域イベントや行事も記されている。通常のカレンダーは1か月が過ぎると破って捨てるのだが、このカレンダーは、裏面に翌月の星空や観測ガイド、天文現象ハイライト、地球環境に関するコラム、潮汐カレンダーなどが書かれている。カレンダーの隣に貼って活用したい。

ひとことで天文現象といっても、太陽、惑星、月、流星、彗星、小惑星などさまざまな現象があるし、ただ眺めたいのか、スケッチや写真で記録したいのかによっても参考にするものが変わってくる。自分のスタイルに合わせて選んでいこう。

(紹介:秋山謙一)