子どもが抱く「宇宙はどうなっているの?」という素直な疑問や、「日本サッカー協会のシンボルマークと太陽の関係」といった知人に話すと盛り上がりそうな雑学は、天文ファンでなくとも興味をそそられる話題だろう。今回は、そんな幅広いジャンルの天文情報を読みやすくまとめた本を紹介しよう。
『とんでもなくおもしろい宇宙』は、京都大学大学院理学研究科附属天文台(花山天文台・飛騨天文台)台長の柴田一成教授が書いた読み物。太陽宇宙プラズマ物理学を専門に研究しているだけあってテーマの中心は太陽だが、しだいに話は惑星のことや地球外生命体について広がっていく。やがて、UFOをまじめに議論する研究者たちの楽しいシーンから、異星の知的生命体に出会える確率といった科学的な内容に発展。最後には“天文学者という存在”を、彼らしいユニークな語り口で紹介してくれる。太陽や宇宙の知識を得ることと同じくらい、天文学者という人々の興味深い生態についても知ることができそう。
次の2冊は、一問一答の形で初心者にわかりやすく宇宙の疑問に答える文庫本。まずは、『宇宙 素朴な疑問が解ける本』。タイトルの上に「イラスト図解でよくわかる」とあるように、天文ファンお馴染みのえびなみつる氏が、親しみのある絵とわかりやすい文章で、さまざまな疑問を解説していく。冒頭で紹介した「日本サッカー協会のシンボルマークと太陽の関係」など、知っていると持ちネタになりそうなトリビアも掲載。天文初心者にはとっつきにくい科学的な説明図も、えびな氏の温もりのある絵と手書き文字なら、気負わず楽しく読めるだろう。
『ここまでわかった宇宙100の謎』は、2011年に出版された『宇宙100の謎』の第二弾(『宇宙100の謎2』)を改題、加筆修正して文庫化したもの。いずれも、一般の人たちから宇宙に関する疑問を公募し、それに専門家集団が回答するというスタイルをとっている。その謎は、「宇宙はにおいますか?」「宇宙人はいますか?」など、ラジオ番組で子どもが質問しそうなものから、「3K黒体放射がビッグバンの直接的証拠といわれますが、直進する電波が、今も宇宙に充満するのはなぜでしょうか?」という、おそらく天文講演会か大学の授業で出たと思われるものまで。わかることは端的に、わからないことはわからないと真摯に答えている。ちなみに、謎100は「この宇宙に神はいるのか?」この問いにも、サイエンスの視点からしっかり答えている。
最後は、『まるわかり太陽系ガイドブック』。オールカラーで美しく写真も豊富だが図鑑というより、しっかり読んで学ぶ入門書。太陽系について勉強したい人にお薦めの一冊だが、「太陽系のことならもう知ってる」という人もあなどってはいけない。天文学は日進月歩、あなたが覚えたころの知識より、新しくて興味深い情報やデータがどんどん発表されている。もう一度おさらいする気持ちで読むと、案外「新情報にびっくり!」なんてことが載っているかもしれない。
(紹介:原智子)