新型コロナウイルス感染症対策のため、いつもの春より子供も大人も窮屈な日々を過ごしているのではないだろうか。暖かくなり天体観測しやすい季節になったことだし、たまには夜空を見上げて気分転換をするのもいいのでは。今月は、親子で星空を楽しむのに役立ちそうな本を集めた。
『こぎつねチロンの星ごよみ』は、野原の外れに住む「ひげくま先生」と森の動物たちのやりとりを通して、毎月の星空や様々な天文現象について案内する児童書。この本のベースは、著者が小学校で教師をしていた2008年にプラネタリウム解説コンクール最優秀賞を受賞した作品で、そのため物語も会話を中心に展開していく。全編に振り仮名があるので小学生一人でも読めるが、家族や大人が声色を変えながら読み聞かせをしたらいっそう楽しめそう。ちなみに、「チロン」という名前はアイヌの人がキタキツネのことを「チロンヌップ(どこにでもいる神様)」と呼んでいたことに由来する。アルファベットで表すと「Chiron」になり、ケイロンとも読める。なかなか良い名前だ。
『星座と神話のキャラクター図鑑』は、黄道十二星座と季節を代表する星座、そして神話に登場する者たちを、個性的なキャラクターとして見せる図鑑。プラネタリウムで投映されている星座絵も充分キャラクター化されているが、さらに誇張されたユニークなイラストで表されているので、ゲームの登場人物のように親しみやすい。もともと星座も夜空に自由に描いた物語なのだから、その時代に合わせてわかりやすく描かれておかしくない。まずは星座の名前や物語に興味を持ち、それから実際の夜空を見上げたっていい。同シリーズには『天文キャラクター図鑑』もあり、こちらはビッグバンやダークマターなど44のキャラクターが登場する。ちなみに『感染症キャラクター図鑑』もあり、時節柄こちらも気になった。全シリーズ、振り仮名があり絵本感覚で楽しめる。
さて、星について学んだら、やっぱり本物の星空を見たくなる。そんなとき役に立つのが『日本の星空ツーリズム』だ。著者が代表を務める「宙(そら)ツーリズム推進協議会」は、空(SKY)・スペース(SPACE)・宇宙(UNIVERSE)に関わる全国の様々な施設や団体、旅行会社などの企業が幅広く参加する官民学連携の非営利団体。空・スペース・宇宙の多岐にわたる魅力の総称を「宙(そら)」ととらえて、宙と旅がたくさんの人たちの「幸」「癒し」「夢」になることを目指している。本書では、星空を楽しむ旅におすすめの場所(公開天文台や各種施設)と方法(基本的天文知識)を具体的に紹介している。
もっと専門的に天体観測をしたい人は、『星を楽しむ』シリーズをどうぞ。まずは『天体観測のきほん』。次に、道具がなくても楽しめる『星座の見つけかた』。そして、『双眼鏡で星空観察』と『天体望遠鏡の使いかた』を読んだら、いよいよ本格的な天文活動ができそうだ。部活や同好会などで先輩から教わる機会がない人でも、この4冊をマスターしたら一通りのことが身につくだろう。
(紹介:原智子)