火星探査機マーズ・クライメイト・オービター消息絶つ

【1999年9月23日 NASA

NASAは9月23日、火星に到着した惑星探査機マーズ・クライメイト・オービター(MOC)を火星周回軌道へ投入することに失敗、同機は火星大気に突入し破壊された模様であると発表した。

NASA JPLによる9月23日付の声明文

MOCは日本時間9月23日18時01分、火星軌道に入るためのメインエンジンを点火、その5分後の18時06分にMOCが火星の裏側に隠れ、地球との通信が一時的に途絶えるまでの間、正常に航行していたことが確認されている。メインエンジンは18時17分まで燃焼し続け、さらにその10分後の18時27分、地球との通信が再開されるはずだった。しかし同機との通信はその後途絶えたままとなった。

メインエンジンの点火後、MOCがもっとも火星に近づく場所は火星表面から150〜160km上空と予定されていたが、実際にMOCが火星に到着する6〜8時間前のデータを初期解析した結果、MOCは火星表面上空60kmの場所を通過していたことがわかった。MOCが火星大気によって墜落しないための最低高度は85kmと見積られており、これよりも低い場所を航行していたことになる。

このトラブルは探査機の機械的な問題というより、むしろ人為的或いはソフトウェアのミスで起こった可能性があると指摘されているが、詳細な原因は現在調査中である。

MOCは火星初の気象探査機として1998年12月11日、NASAにより打ち上げられた。今月7日には搭載された火星カラー撮影装置によって 火星の初画像 が届いたばかりだった。

1999年1月3日には火星軟着陸を目指すマーズ・ポーラー・ランダー(MPL) が打ち上げられ、現在火星に向けて航行中である。NASAでは、MOCを失うことは重大な損失ではあるが、現在火星軌道をまわっているマーズ・グローバル・サーベイヤーをはじめ、今後打ち上げられる予定の衛星によってこの穴を補うことは可能であるとしている。