近距離銀河の中の星形成領域
【2000年1月6日 Space Science Update (NASA, STScI)】
NGC4214は私たちの銀河系から1300万光年という“至近距離”に位置する系外銀河である。ハッブル宇宙望遠鏡は、この銀河の中でさまざまな進化段階にある新しい星から複数の星団が誕生していくようすをとらえた。カラー合成されたこの画像から星や星団の形成や進化の過程をみることができる。
この中でもっとも若い星団は、画面右下に輝く半ダースほどのガス塊の群れである(矢印1)。これらのガス塊は画面では黄色く見えており、内部にある原始星から放射される紫外線によって発光しているのである。
これらの星たちはやがて大質量の恒星へと進化し、青白く輝く星から成る星団を形成する。このような星団の例を、画面中央下にみることができる(矢印2)。星団からは強烈な紫外線が放出され、秒速数千キロメートルにもおよぶ星間風を外部に吹きだす。これらの星間ガス流や放射圧によって周囲のガスは外部に吹き寄せられ、また新たなる星を形成するガス塊を生み出していくのである。
一方、この画面の中に見えている莫大な数の暗い星たちは、上記のような青白く輝く短命な大質量の星とは異なり、ずっと古くからこの銀河に存在してきたものである。NGC4214の中では数億年もの間、星の形成と消滅が繰り返されてきたのである。
この画像は1997年6月に撮影されたもので、 ハッブルヘリテージ(遺産)プロジェクトの一環として今回新たに公開されたものである。 ハッブル宇宙望遠鏡は1999年暮れのスペースシャトルミッションで修理を終えたばかりである。今後の活躍を期待しよう。
<参照>・STScI-PRC00-01, January 6, 2000(英文)
・Descriptions of Galaxy NGC 4214(英文)