NASAの次世代スペースシャトル計画の実現に疑問
【2000年9月20日 FOX NEWS.COM (2000.9.18)】
NASAが次世代スペースシャトル開発計画をスタートしてから4年が経過した。この計画は、現行のシャトルに比べて信頼性やコストの面でずっと優れた完全再利用型宇宙往還機の実現を目指すもの。特にコスト面では、現行のシャトルの打ち上げコストが1ポンド(約450グラム)あたり1万ドルなのに対し、次世代シャトルでは1ポンドあたり千ドル以下になることが見込まれている。
そして打ち上げコストが安くなることにより、現行シャトルでは現実的でないさまざまな商用利用への可能性が開ける。それは、宇宙旅行や宇宙での半導体生産などだ。
ところが、本来は18か月前に初飛行を行なうはずだった試作機X-33は、未だ未完成のままカリフォルニア州パームデールの格納庫にある。X-33の製作には製作開始当初から技術的問題がつきまとっており、今では初飛行の実現に疑問を持つ技術者もあらわれている。
最も深刻な問題は、1999年11月に発覚した、水素燃料タンクの欠陥だ。すでにNASAはX-33製作のための予算を使い果たしてしまっており、製作担当会社である米ロッキード・マーティン社も2億2000万ドルの製作予算をオーバーしてしまっている。
NASAはこの問題は一時的な頓挫に過ぎないとしている。X-33計画のマネージャーであるGene Austin氏によると、計画は2年遅れとなる見込みで、NASAは今年末に水素燃料タンクの改善方法に関する最終決定を行なうという。
元国会議員で今はUniversal Space Network社(衛星追跡サービスを提供する会社)で働くTim Kyger氏は、その最終決定において計画は静かに終わりを告げることになると考えている。Kyger氏は、次のように述べている。「私は、X-33が飛行することは無いと考えています。そして、そう考えているのは私ひとりではありません。」
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