若田さん搭乗のシャトルの打ち上げが日本時間10月10日朝に延期

【2000年10月6日 FLORIDA TODAY (AP通信社が協力) (2000.10.6)

米国東部夏時間10月5日午後9時38分(日本時間10月6日午前10時38分)の打ち上げを予定していたスペースシャトル・ディスカバリー号だが、2つの技術的問題から打ち上げは米国東部夏時間10月9日午後8時5分(日本時間10月10日午前9時5分)に延期となった。

最初に発覚した問題は、オービター(スペースシャトル本体)と、巨大な外部燃料タンク(ET)を結合する3本のボルトへの懸念。ET側に据え付けられているこのボルトは爆発ナットでオービターと結合されており、爆発ナットの爆発によりET/オービターの分離後は安全のためET内部に格納されるようになっているが、10月4日に9月8日のアトランティス号(STS-106)の打ち上げの記録フィルムを分析していたところ、3本ボルトのうち1本が分離後ETに正常に格納されていなかったことが判明した。幸い、アトランティス号に損傷は無かったが、最悪の場合は突出したままのボルトの影響から分離後のETの軌道が乱れ、オービターに接触してしまう可能性も考え得る。この問題は5日になっても原因がわからず、安全性の確認作業のために時間が必要であることから延期が決定された。発射台上でのボルトの交換は不可能であるため、コンピュータ・シミュレーションにより安全性の検討が行なわれる。

続いて発覚した2つ目の問題は、主推進システム内の重要なバルブの不具合で、爆発ボルトの問題より大きな懸案である。このバルブは、エンジンへ送り込む液体酸素の流量を制御するもので、振動の発生を抑制しエンジンの損傷を防ぐ上でも重要な部品だ。このバルブは交換されることになり、交換作業とその後の試験に必要な充分な時間を確保するために9日までの打ち上げ延期が決まった。

シャトル史上100回目のフライトとなる今回の主なミッションは、宇宙で組み立て中の国際宇宙ステーション(ISS)に、通信システムや姿勢制御システムを取り付ける土台である「Z1トラス」という構造体や、ISSとスペースシャトルを連結するドッキングポートである「PMA-3」を取り付けることである。日本人宇宙飛行士、若田光一さんも乗り組む。

若田宇宙飛行士はこのフライトにおいて日本人として初めてISSの組み立てに参加し、 シャトルのロボットアームを操作して、Z1トラスとPMA-3をISSに取り付けたり、船外活動を支援する。

この打ち上げは、NASA TVにてインターネット・ライブ中継される。ご覧になるためには、アクセスポイントによってWindowsMediaPlayerまたはRealPlayerQuickTimeが必要となる。

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