金津さん、とも座に新星らしき天体を発見
【2001年1月5日 VSOLJニュース (046) (2000.12.30) 】
島根県松江市の金津和義さんは2000年12月22日に南天のとも座を写したフィルムから、8.6等級に増光している天体を発見し、VSOLJ(日本変光星観測者連盟)に報告しました。金津さんが2000年1月に撮影されたフィルムには11.7等よりも明るい天体が写っていないこと、変光星総合カタログや可視光・赤外線サーベイのカタログに該当する変光星が存在しないことから、新星ないしは類似の爆発型天体である可能性が高まりました(*1)。もし新星と確認されれば、「とも座新星2000」の名前で呼ばれるようになると思われます。
(*1) 新星と確定する前の天体が「新星状天体」と呼ばれることがありますが、「新星状天体」という別の意味の天文学用語があるため、新星と思われる天体を指す場合にこの用語は用いない方がよいでしょう。
金津さんによれば、天体の位置は以下のように報告されています。
赤経 07h 37m 58s (J2000.0)
赤緯 -25゚ 56′51"
金津さんからの報告を受け、長野県佐久町の高見澤今朝雄さんは、この天体が2000年11月28日と12月22日のパトロール写真にも写っていること、1994年から1999年の22枚のフィルムに写っていないことを確認し、天体の実在が確実になりました。
これまでに報告された等級(いずれも写真観測)は以下の通りです。
1999年12月 3.790日 <14.0 (高見澤) 2000 1 15.719 <11.7 (金津) 11 28.703 8.6 (高見澤) 12 22.578 8.8 (高見澤) 12 22.731 8.7 (金津, 発見) 12 22.733 8.6 (金津, 発見)
天体が1か月近くにわたってほぼ同じ光度で観測されていることから、変光のゆっくりした「遅い新星」の仲間である可能性があります。
金津さんは、1993年にも現在V705 Cas(カシオペヤ座V705)の名前で知られるカシオペヤ座新星を発見していれます。この新星はゆっくりした減光の後に突然暗くなる特異な現象を示し、人工衛星による観測が歴史的な成功を収めました。インターネットにがこのような突発的な現象の迅速な情報交換に画期的な成果をもたらした、事実上最初の例となった歴史的な新星です。
<関連ニュース>- 2001. 1. 5 - 金津さん、とも座に新星らしき天体を発見・速報 (NAOニュース407)