H-IIAロケット試験機1号機、打ち上げ成功!

【2001年8月29日 アストロアーツ】

8月29日、日本の次期主力国産ロケット「H-IIA」の試験機1号機の打ち上げが種子島宇宙センターにおいて実施された。

打ち上げ時刻は当初午後1時の予定であったが、準備作業の遅れから3時間延期され、午後4時ちょうどに打ち上げられた。打ち上げはトラブル無く進み、打ち上げから約29分後に第2段エンジンの第2回燃焼を完了した。この結果、性能確認用の各種センサーを搭載した模擬衛星「VEP-2」を積載した第2段は、ほぼ計画どおりの静止遷移軌道に投入され、打ち上げは成功した。(注: VEP-2 は第2段から分離されない)

また、打ち上げから約40分後には「レーザ測距装置 (LRE)」(ミラーボール状の小型衛星で、この衛星を地上からレーザー測距することにより、試験機1号機の軌道を正確に求めることができる) を分離、全ての打ち上げプロセスを完了した。

一般にロケットは、3回連続で打ち上げに成功することでようやく信頼性が確立できると言われており、今回の成功は第一歩に過ぎない。しかし、H-IIAの前身にあたるH-IIに打ち上げに過去2回連続で失敗した日本の宇宙開発の信頼は、ある程度は回復できたといえよう。国民の期待感も再び大きく高まってくるに違いない。

宇宙開発事業団 (NASDA) の山之内理事長は、打ち上げ後の記者会見において記者団の質問に答え、今回の打ち上げを、「自分で自分の評価をするものではないか、自分としては100点を超えていると考えています。」と評価した。

しかし、「スケジュールより信頼性だ」という基本方針を掲げる理事長は、今回の成功を受けても決して気を緩めてはおらず、「私は今回の打ち上げは原点だとしており,いかなる疑念も残っている限り打ち上げないという理念を変えるつもりはない。信頼感を高めてコストを下げるという他の産業も辿ってきた道を進みたいと思う。」と語っている。

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