SDSS のデータ
地球に小惑星が衝突する可能性を今までの 1/3 に下方修正
【2001年11月15日 Sloan Digital Sky Survey news(11 月 7 日)】
SDSS(Sloan Digital Sky Survey)のデータを解析した天文学者によると、文明を壊滅させるほどの大きさを持つ小惑星が、地球に衝突する確率は 50 万年に1度の頻度ほどであるらしい。これまで言われてきた 15 万年に1度に比べれば、危機が約 1/3 に減ったということになる。この発表によると、直径 1km 以上の文明を滅亡させるほど大きな小惑星は太陽系内におよそ 70 万個ということだ(今までは 200 万と言われていた)。
SDSS はアメリカ、ニューメキシコ州のアパッチポイント天文台の望遠鏡を使っておこなわれている。主目的は、銀河系外の天体をサーベイ(掃天観測)することだが、それと同時に、視野を横切るもっと近くの天体も記録している。
この観測では NEA(Near Earth Asteroids、地球接近小惑星)と呼ばれる一連の小惑星を観測したわけではない。したがって、実際に衝突の可能性のある天体の数については確かなことは言えないが、研究者たちは今回の小惑星帯の観測結果によって似たようなサイズの NEA の衝突確率を計算できると考えている。
以前の研究では直径 5km より大きな小惑星しか検出できなかったので、それより小さなものの数は大きい小惑星の数をもとに推定するしかなかった。SDSS によって実際に小さなものまで数えてみると、推定よりも少ない数しかなさそうだということがわかった。なぜ少ないのかはわかっていないが、この観測結果が確かなら、太陽系の歴史や小惑星帯形成の要因などの研究に重要な手がかりを与えてくれるかもしれない。
また、この観測では小惑星の組成も調べることができた。それによると、岩石質の小惑星と炭素質の小惑星の分布が異なっていることもわかった。岩石質の小惑星帯の軌道分布は他のタイプの小惑星のそれより 6,500 万 km 太陽に近いということである。