小惑星が地球に近づく原因の一つは太陽光かもしれない
【2001年12月5日 Southwest Research Institute (SwRI) News】
火星と木星の間には多くの小惑星があり「小惑星帯(アステロイド・ベルト)」と呼ばれている。これらの小惑星のうち直径が 1km を超えるような大きなものが地球に衝突すると地球の生命絶滅の危機が訪れる。しかし、そもそも小惑星はどうやって小惑星帯を離れて地球の近くまでやってくるのだろうか?その原因の一つは太陽の光かもしれない。
コロラド州サウスウェスト研究所の William Bottke 博士たちの研究グループの発表によると、数億年から数十億年もの年月のあいだ太陽光を吸収・再放射した大型小惑星は、少しずつ元の軌道からずれていき、最終的には地球軌道のすぐ近くまで来ることができるような軌道へと移るということだ。
100 年ほど前にロシアの I. O. Yarkovsky が示した理論によると、宇宙空間で回転している天体は温められた後にそのエネルギーを再放出する際に運動量を失うが、このエネルギー再放射によって天体がわずかずつ推し進められるのだ。Bottke らは、この Yarkovsky 効果が規模の小さな小惑星群(小惑星帯の中で小惑星が集まっているところ)に非常に長期間にわたって働けば最終的には小惑星が大きく移動すると考えたのだ。例えば、探査機ニア(NEAR)が近年詳しく調査している小惑星エロス(433)もこのような過程を経て地球近くまでやってきたのだろう。