銀河系最古の天体、白色矮星の年齢は120〜130億歳
【2002年4月25日 STScI Press Releases】
NASAのハッブル宇宙望遠鏡で球状星団にある白色矮星を観測した研究者たちにより、この白色矮星の年齢が120〜130億歳であることがわかった。宇宙の年齢を決める上でも重要な観測結果と言えそうである。
観測対象となったのは、さそり座にある球状星団M 4で、地球からおよそ7,000光年の距離にある。その中にある白色矮星を観測したのだが、30等級とあまりにも暗いため、ハッブル宇宙望遠鏡をのべ8日間も使ってようやく撮影することができた。この白色矮星の温度を測定することで、年齢を推定することができるのだ。現在も核融合反応を起こして燃えている星の年齢を推定するのは複雑なモデルが必要なため難しいが、「恒星の燃えかす」である白色矮星はただ冷えていくだけなので(そして、最初の温度の推定や温度が下がる割合などは理論的に予測できるので)、年齢の推定が容易なのである。
こうして求められた白色矮星の年齢は120〜130億歳となった。別の観測から、宇宙で最初の恒星は宇宙誕生から10億年以内に形成されていることがわかっているので、白色矮星の年齢とあわせて考えると宇宙の年齢は130億歳前後ということになる。これまでは、宇宙年齢は遠方の天体を観測して得られる宇宙の膨張速度から求められており、それによると宇宙の年齢は130〜140億歳ということであった。
宇宙の膨張速度を測定するという従来の方法とはまったく違う、白色矮星の年齢測定という独立した方法によって宇宙年齢を測れるようになったのは非常に重要だ。宇宙がいつ誕生したのかという、天文学におけるもっとも重要な問題に結論が得られるのも、間もなくかもしれない。