XMM-Newton望遠鏡、中性子星による重力赤方偏移を観測
【2002年11月7日 ESA News】
ESA(ヨーロッパ宇宙機関)のX線観測衛星XMM-Newtonが、中性子星の強い重力による「重力赤方偏移」現象を世界で初めて捉えた。
中性子星は、太陽の8倍以上重い星が一生を終える際に超新星爆発を起こした後に残る、ひじょうに高密度の天体である。その内部は普通の天体とは大きく異なった特殊な状態になっており、密度や温度はビッグバンによる宇宙誕生直後の宇宙の状態と似ていると考えられている。
今回XMM-Newtonが観測したのは、中性子星から放射される光が星の強い重力を受けてエネルギーを失う「重力赤方偏移」と呼ばれる現象である。重力赤方偏移の量を調べることによって中性子星の質量を推定することができ、その質量と大きさから中性子星の密度、別の言い方をすれば中性子星の内部の状態、を知ることができるというわけだ。
今回のような観測を重ねることで、中性子星の内部、さらに初期宇宙のようすについてもっと多くのことがわかるようになるだろう。