太陽の4000万倍明るい、宇宙で一番輝いている星
【2004年1月10日 UNIVERSITY OF FLORIDA News】
フロリダ大学などの研究グループが、これまで見つかっている恒星の中でもっとも明るく輝いている可能性のある星を発見したと発表した。その明るさは太陽の4000万倍で、これまでの記録を7倍も更新するものである。
今回発表された星はLBV 1806-20という天体で、地球から4万5000光年の距離にある。地球と星との間にあるちりのために、この星は可視光では見えず、赤外線でしか観測することができない。LBVとは「高輝度青色変光星(Luminous Blue Variable、訳語はアストロアーツによる)」を意味しており、赤外線で観測すると明るさや色が変化するという特徴を持っている。また、短命で大質量であるのも特徴で、かなり珍しい天体である。
これまでもっとも明るいとされていたのは、1997年に発見されたピストル・スターという星である。ピストル・スターは約2万5000光年ほど離れたいて座の方向(すなわち、ほぼ銀河系の中心部)に位置しており、その明るさは太陽の500〜600万倍と見積もられている。一方、LBV 1806-20の明るさは太陽の4000万倍で、ピストル・スターと比較しても桁違いの明るさだ。また、LBV 1806-20の年齢は200万歳とひじょうに若く、大きさは少なくとも太陽の150倍はあると考えられている。現在の理論では恒星の質量の限界は太陽の120倍程度と考えられており、LBV 1806-20やピストル・スターのような超大質量星がどうやってできるのかについては、はっきりとはわかっていない。
さらに、この星が存在する星団には、もう一つ別の種類の特殊な天体も発見されている。周期的にガンマ線バーストを起こす「ソフトガンマ線リピーター」というタイプの中性子星で、これまでにたった4つしか発見されていないタイプの天体だ。ソフトガンマ線リピーターには、地球の数百兆倍もの強さの磁場がある。
LBVやソフトガンマ線リピーターのような特殊で珍しい星を観測し研究することは、それ自体の性質がわかるというだけでなく、恒星の進化を探る上でもたいへん重要なことだ。星の明るさや質量がより正確に求められてくるのを楽しみにしたい。