初めて超新星の伴星を発見、ブラックホールの出現をリアルタイムで発見できる可能性も
【2004年1月26日 ESA News】
ハワイ大学とヨーロッパの共同研究チームが、初めて超新星の伴星を観測した。
超新星爆発は宇宙におけるもっとも激しい現象である。天文学者たちは、単独の星が自身の大質量によって爆発を起こす(II型超新星)か、または伴星が重要な役割を果たす連星系で爆発が起こる(I型超新星)のではないかと長年考えてきた。しかし、I型超新星についてこれまでに伴星の存在が観測されたことはなく、おそらく爆発の影響で伴星が残されないのだろうと考えられてきた。
1993年、ここ数年で2番目の明るさとなった超新星SN 1993Jが、おおぐま座の銀河M81に発生した。当初、SN 1993Jは、大量にヘリウムを放出する点や通常とは逆に明るさを増してゆく奇妙な点で研究者たちを困惑させた。これは単独の星が超新星爆発を起こしたとは考えにくく、おそらく爆発前の赤色巨星は伴星の周りを公転していたのだろうと推測される。超新星爆発から10年後、ハッブル宇宙望遠鏡とケック望遠鏡が超新星の位置に大質量星を発見し、これが初めての超新星の伴星の発見となったのである。
さらに、超新星爆発の250年前から、赤色巨星が伴星によって太陽質量の10倍という大量のガスを激しく剥ぎ取られていることがわかった。今後さらにこの伴星を観測し続けることによって、超新星爆発の残骸から中性子星やブラックホールが出現するのをリアルタイムで発見できるかもしれない。
これまでに超新星は2000以上発見されてきた。しかし、爆発前の天体が同定されたのは、このSN 1993Jなどほんの数例しかない。M81などの銀河で超新星爆発が起きる頻度は平均で100年に1度程度だ。研究チームは多くの銀河やそこに含まれる天体を観測し、超新星爆発を起こす可能性のある候補天体をリストアップし始めている。