ハッブル宇宙望遠鏡が捉えた、爆発的な星形成によってできた銀河の泡構造

【2004年2月9日 HubbleSite NewsCenter

NASAのハッブル宇宙望遠鏡が、矮小銀河NGC 1569の激しい星形成のようすを捉えた。爆発的な星形成活動のために、銀河自身が穴だらけになっている。

(NGC 1659の画像)

矮小銀河NGC 1659。4種類の異なるフィルタによる画像を合成(青:広域紫外線フィルタ、緑:グリーン・フィルタ、赤:広域赤色フィルター、同じく赤:Hαフィルタ)(提供:ESA, NASA, P. Anders (Göttingen Universtiy Galaxy Evolution Group, Germany))

NGC 1569はきりん座の方向にあり、地球からはおよそ700万光年離れている。星の爆発的形成現象を起こしているスターバースト銀河としてはわれわれに一番近く、銀河の形成や進化、星形成活動について絶好の研究材料を提供してくれる。この銀河は2500万年前に星形成を始めたと考えられているが、これは地球では初期の人類の祖先が登場したころにあたる。爆発的な星形成は、その後およそ2000万年間続いたようだ。銀河中には、大きく若い星々が集まった2つの星団と多くの小さな星団が見られる。

また、NGC 1569には泡のような構造も見られる。これは、若い高温の星からの強烈な恒星風や超新星爆発の衝撃波の影響で水素ガスが光って見えているものだ。矮小銀河NGC 1569の環境はまだ荒れ狂った状態にある。その中で超新星爆発は、新しい星や星団を生み出すための素材をばらまくだけでなく、そういった荒れ狂った環境の中でガスを圧縮し実際に星形成の引き金を引く役割をも果たしているようである。