X線による銀河団のサーベイ観測「REFLEX」から暗黒物質にせまる
【2004年6月23日 ESO Press Release】
ヨーロッパの研究チームによる12年間にわたる銀河団研究の結果が発表された。暗黒物質の量に関する研究としては他からまったく独立したもので、過去の姿である初期宇宙の構造とX線で観測した銀河団の描く現在の宇宙の姿をリンクさせるという研究だ。これにより、宇宙の膨張を抑制する力と考えられている暗黒物質の量についての研究がまた一歩進むことになりそうだ。
銀河団には数十万もの銀河が含まれているが、同時に目に見えない謎の暗黒物質という興味深い物質も大量に存在している。その質量は、太陽の10億倍の100万倍に相当する。可視光での観測が不可能な銀河団に含まれる質量のうち約5分の1は、数千万度の高温ガスとして分布しており、強いX線を放射している。
そこで今回の研究では、X線観測衛星ROSATによって銀河団の観測が行われた。また、ESO(ヨーロッパ南天天文台)の望遠鏡による観測で、各銀河団までの赤方偏移の値が求められた。こうして、12年に渡る「REFLEX」(ROSAT-ESO Flux Limited X-ray)サーベイで、南天にありX線で明るく見える銀河団447個を網羅するカタログが作成されたのである。447個のうちの半数以上が今回のサーベイによって発見されたものだ。
REFLEXのデータからは、暗黒物質の量に関する制限が得られる。最新の超新星に関する研究と合わせた結果では、アインシュタインが提唱した「宇宙項」を持つ宇宙と似たような宇宙の姿が示されたということだ。また、多くの銀河団が発見されデータが得られたことで、銀河団中の銀河の進化や銀河団をレンズ源とした重力レンズ効果などの研究についても役に立ちそうである。