いくつかの球状星団は銀河の残骸?大質量球状星団の中心にはブラックホールが存在する可能性も
【2004年8月24日 CfA Press Release】
ケンタウルス座Aという銀河に含まれる球状星団の観測結果から、いくつかの球状星団はかつて銀河だったものの中心部分かもしれないという説が発表された。さらに、大質量球状星団の中心にはブラックホールが存在する可能性もあるということだ。
研究グループは、1250万光年離れた大きな楕円銀河ケンタウルス座A(NGC 5128)に存在する球状星団14個について観測を行った。この14個はケンタウルス座Aに含まれる球状星団およそ2000個のうち明るいものを選んでおり、明るいほど質量が大きいという傾向に基づいた選択である。その結果、これらの球状星団は、われわれの天の川銀河やアンドロメダ大銀河を含めた近傍銀河に存在するほとんどの球状星団より10倍も質量が大きいことが明らかにされた。
質量の大きさから導かれる興味深い疑問として、ケンタウルス座Aの球状星団の中心にブラックホールが存在する可能性が挙げられている。これまでにもアンドロメダ座大銀河の球状星団G1に中間質量ブラックホールが存在するのではないかという結果があった。G1全体の質量と中心に存在するブラックホールの質量の割合は、大きな銀河の質量とその中心に存在する超大質量ブラックホールの質量の割合とよく似ており、G1はかつて大きな銀河だった天体の核の部分ではないかという説がある。このG1と同様に、ケンタウルス座Aの球状星団にもブラックホールが存在しているかもしれず、存在していればこれらの球状星団もかつては銀河だったかもしれないと考えられるわけだ。
また、天の川銀河に存在する最大級の大質量球状星団は、ケンタウルス座Aに存在する大質量のものに匹敵する。このことは、天の川銀河とケンタウルス座Aそれぞれに存在する大質量星団が同様の形成過程を経たことを示しているのかもしれない。大質量球状星団の今後の研究によって、球状星団と銀河の形成プロセスに関する因果関係が明らかにされていくだろう。