連星系に新種の天体発見か
【2004年10月19日 Gemini Observatory】
質量移動という激しい様相を呈する連星系で、どの天体の種類にも属さないと考えられる新種の天体が発見された。この天体の存在が明らかにされたのは、われわれから300光年離れたエリダヌス座EFという連星系で、太陽質量の60パーセント程度の白色矮星と太陽質量の20分の1という新種の天体とが地球−月ほどの距離を81分周期で巡っている。
イラスト中、右の天体が新種の天体で、左の白色矮星に質量を奪われている。白色矮星はわれわれの太陽のような星の燃えかすで、現在は地球程度の大きさとなりながらも、まだ充分な可視光を放っているという。
一方、質量を失いつつある星は、スペクトルからその温度が1700K(摂氏約1400度)と考えられているが、これは低温の褐色矮星に相当する。しかし、スペクトルの他の特徴は褐色矮星のものと一致しない。また、質量や温度などの特徴は、低温の星や惑星、「ホットジュピター」と呼ばれる高温の系外惑星にも該当せず、今まで知られている天体のどの種にも属さないようである。白色矮星の進化の間も生き残った「スーパープラネット」と呼ばれる天体かもしれないが、その可能性はきわめて低い。
この連星系で質量移動がいつ始まり、なぜ止まったのかは、まだわかっていない。エリダヌス座EFと似たような連星系が他にも15ほどあるため、それらの観測とデータ収集が進められている。